第9章 思わぬ誘いと憧れのヒト
「好きなものを頼め。」
兵団にいる時とは全く違うリヴァイ兵長のオーラ。
何だか、いつも近寄り難い雰囲気を纏っいる人とは思えないくらい柔らかくて、私は口が開けないでいた。
リヴァイ兵長はそんな私を見てか、メニュー表を取り、「どれか口に合うものがあればいいが。」と畝る。
片手を口元に当てて、真剣な顔をして。
初めて見る表情に、また心臓が大きく波打つ。
釘付けになっていた私に気付いたリヴァイ兵長は、少しだけバツの悪い顔をして、「見過ぎだ。」と私の髪に触れた。
その綺麗な手に触れられた髪が、身体の一部みたいに痺れるような感覚がして、黙り込む私を他所に、淡々と注文を続けていくリヴァイ兵長。
「……あまり好みのやつはなかったか?」
「い、いえ!初めてだから緊張しちゃって……。」
慌ててぶんぶんと頭を振る私。
リヴァイ兵長の顔が、少しだけホッとしたように見えたのは、勘違いだろうか。
……って言うか、ホントにこんなお店なんか来たことないし。
それに、リヴァイ兵長と二人きりで御飯とかも……初めてだし。
緊張したらダメって分かってるのに、身体がガチガチになって上手く動かない。
そんな私達の目の前にお店の人が置いて言ったのは、何故かワイングラスと、ワインのボトルだった。
二つあるグラスに事の意味が理解出来ない私を他所に、リヴァイ兵長は慣れた手付きで、二つのグラスにワインを注ぐ。