第10章 〜憎しみを抱いて〜
ーーまぁサイドーー
1日前。
花屋『そっか…。で、怒って帰っちゃったんだ。』
『そうなの…。』
花屋『そうだ!何もできないけど、少しでも気分転換になるならと思うんだけど、さっきの車に、とっても珍しい花があって!良かったら見て帰らない?』
『はい!』
花屋『これ!この真っ白い花!まるで天使の羽が集まったみたいで、すっごく綺麗でしょ!』
『ほんとだぁー!すっごくき…れぃ………。』
花屋『そう、すごく綺麗でしょ……。天使さん…』
意識が戻った時には目隠しをされていて周りの状況は分からないが、手足を拘束されているのは分かる。
男『はっ!そんな話が本当に存在するのか?
まー、ものは試しだ。コイツがダメになっても俺に何の影響もない!』
その瞬間、腕にチクリと違和感を覚える。
頭がクラクラする……気持ち悪い……。
男『これは、現実と夢の間に引き込む幻覚剤だ。
さぁ、前世の記憶を…呼びさませ!』
『私は……。死神さんは?』
男『成功だ!』
花屋『君は、天使だね?
君は生まれ変わり、人間として生を受け、君の想い人の前に現れた。
だが、彼は君のことなど覚えていない。
それどころか、君の知らない女性と恋に落ち、またもやその女性の命と引き換えにのうのうと生きている!』
『そ…んな。嘘よ!彼は、私を忘れないって約束してくれた!それに…彼は、私を愛してるって…』
男『嘘ではない。
その死んだ女は、俺の元婚約者だ。
お前の想う男が、俺からその女を奪い、殺した。』
『そ…んな……。』
男『憎いか…?お前を忘れただけでなく、他の女を愛し、命まで奪った男が、お前が命をかけて救った男が、憎いか?』
『…………に…くぃ…。』
男『お前に力を授けてやる。
そのカラダ、時が来た時、自由に使うといい。』
そう言って、私の首筋に何かを打ち込んだ。
痛みは感じなかった。