第9章 〜差し迫る魔の手〜
そして、檻の前に花屋の青年がやってくる。
花屋『やぁ!昨日ぶり!とはじめまして!』
明るく、まるで旧友であるかのようにその青年は優しく微笑む。
その奥からイリーナ先生も姿を現わす。
倉橋『イリーナ先生…。』
矢田『なんで…?』
イリーナ『彼が思い出させてくれたの!私とあんたたちは住む世界が違うってね…。』
カルマ『ねぇ、ちゃ〜んと約束守ったんだ。まぁちゃんは無事なんだろうね?』
花屋『そんな焦らないでよぉ〜!あっ、今モニター付けるね!』
そこに写し出されたのは、スリット姿で両手を鎖で繋がれ、意識を失ったまぁの姿が…。
『まぁ!』
『まぁちゃん…』
みんなが口々に心配の声を上げる。
コロ先生『彼女に何をしたんです…』
花屋『そんな怒らないでよ〜!あんまり騒ぐし抵抗するから、ちょっと薬で眠ってもらって、逃げださないよう、薄着になってもらっただけだよ〜!』
茅野『天使の翼…あれ、どういう意味?』
花屋『あぁ〜、君たちは何も知らないのかぁ!
最後になるし、少しお喋りしようよ!
いきなりだけど、君たちは天使って見たことある?
もちろん僕もないんだけどね!』
そうやってその青年は楽しそうに話出す。
『昔、ある人に聞いたんだ。
翼の生えた人間を見た。
それは、確かに天使だったと。
そして、天使は自分の命と引き換えに、その人を救った。
次に生まれ変わる時、必ず逢いにいくと約束して。
にわかに信じ難いでしょ!』
そう言って、古ぼけた紙をみんなに見せる。
それはまるで写真のように美しく描かれた似顔絵だった。
矢田『これ…まぁちゃんに似てる。』
前原『確かに…。そっくりだ!』
磯貝『で、これと今の話、一体まぁちゃんとどう関係あるんだ!』
花屋『そこまで君たちとお喋りしてる時間はなくなっちゃった。
今からこの地下一体に水を流す。
この檻は、対コロ先生物質でできている。
コロ先生、君はところてん状に刻まれて出てくることになる。
生徒がいるから、強引な方法では出られないよね?
さぁ、イリーナ、行こう!』