第1章 三角形 case1
独りで取り残されたリビングで暫く考え込んでみた。
どちらかが、顔とか完全に好みじゃないとか、性格が凄く悪いとかだったら、簡単だったのに。
残念な事に、あのテの意地が悪そうな顔が好みのタイプだ。
背丈が高いから並んで歩くと、威圧感あるけど。
周りをよく見てるし仲間思いで、なんだかんだで世話焼きだし優しいよね。
あまり考えを表に出さなくて分かり辛いし、捻挫程度の怪我を心配し過ぎるのは、有り難迷惑な所でもあるけど。
2人はやっぱり何処か似ている。
似ているからこそ、優劣はつけやすい筈なのに何故か出来ない。
待つ、と言われたからって待たせ過ぎて、なぁなぁになってもいけないんだけど、纏まらない。
すっかり冷めてしまったお茶が入ったカップを手に取り、口を付けた。
味がしない。
考え事をしているからなのか、と思ってカップを覗くと無色透明だった。
これ、水だ。
お茶を煎れた時も考え事をしていたから、お湯をそのまま入れてしまっていたらしい。
自分の注意力のなさに呆れて、溜め息が漏れた。