第1章 三角形 case1
黒尾さんは急かさなかったし、京ちゃんの事も含めて考えて良いって言ってくれたのに。
これに関しては、私の気持ちや、考えを優先してくれないんだ。
「…最低。」
思ったままの一言が口から出る。
「…俺だって焦るんだよ。ごめん。」
私の言葉ではっとしたように、京ちゃんは眉尻を下げてばつの悪そうな顔をしている。
違う。
最低なのは私だ。
黒尾さんといても、京ちゃんが頭をちらつくし。
京ちゃんと話してたら、黒尾さんと比べてる。
2人が同じ訳なんかないのに。
勝手に京ちゃんも、答えを待ってくれると思い込んでた。
待てないなら、京ちゃんに対してはお断りするしかない。
付き合ってから好きになる恋愛もあるだろうけど、それは告白してきた相手が1人だったら、の話で。
今の私は選ばなきゃならないんだ。
2人に同時に告白されるモテ期なんて、何回もある訳じゃないだろうし、よく考えたい。
簡単に京ちゃんを選んで、後悔をするのは嫌だった。