第1章 三角形 case1
京ちゃんをリビングに通して、お茶をいれにキッチンに入る。
顔を見てると黒尾さんに告白された事、京ちゃんの気持ちを確かめたい事、色々と並べて訳も分からない話になってしまいそうだった。
少しでも考える時間が欲しい。
まぁ、お湯なんて数分で沸くし、時間稼ぎにはならないんだけど。
お茶をいれたマグカップを持ってリビングに戻る。
京ちゃんは寛いだ様子で、ソファーに座っていた。
テーブルにカップを置いて、京ちゃんの向かい側に座る。
「…黒尾さん。」
京ちゃんが発した一つの名前に肩が跳ねた。
カップを置いた後で良かった。
持っていたら熱いお茶を溢す所だった。
「…黒尾さんが、何?」
極力、冷静に様子を伺うように返す。
「黒尾さんに、言われた?」
何を、と聞き返さなくても分かった。
それだけで、京ちゃんの気持ちも。
黒尾さんの出方次第で、京ちゃんも自分の動きを決めようとしている。
「…やっぱり、私なんだね。二人をライバルにしてる要因。」
溜め息混じりに肯定した。
それしか、出来なかった。