第1章 三角形 case1
私も、自分の親と変わらない。
人の時間をお金で買おうとしてる。
あわよくば、愛して貰おうとしてる。
京ちゃんのように、私を構って欲しい。
分かってても止められない癖で、それを知ってる京ちゃんは出入口付近で、私達のやり取りを見ていた。
「じゃ、自分の分だけ払うわ。」
「いりません。一度出したお金は受け取らない主義です。」
お金を受け取ろうとしない私に根負けしたのか、黒尾さんは舌打ちをして支払いは諦めてくれた。
待っていた京ちゃんの元に2人並んで歩く。
結局、3人で帰る羽目になると考えるとお腹が痛くなってきた。
「あの、帰る前にもう一度お手洗い行ってきます。
…黒尾さん、わざわざ来て下さって有難うございました。先に帰って下さい。」
また2人にしてしまうのは不安で、黒尾さんに帰宅を促す。
「外で待ってるわ。待つのは俺の勝手だろ。」
そう言って2人揃って、ファミレスから出ていった。
2人の事は気になるけど、今度は逃げたいからついた嘘ではなく、本当に行きたい訳で。
喧嘩をしないか不安はあるけど、殴り合いとかはしないタイプだろう。
とにかく早めに済ませようと急いでお手洗いに向かった。