第1章 三角形 case1
考えてみれば、京ちゃんも黒尾さんも腹に何か抱えてるタイプで。
京ちゃんは面倒事になるくらいなら抱えた事を言わないし、表情も乏しい方じゃないかな。
私は付き合い長いから分かるけど、誤解を受けやすいだろう。
逆に黒尾さんは少しだけ本音を交えた事を笑顔で飄々と言ってのけて、一番大事な所は隠しきるような。
たまに、目だけ笑ってないのは何か隠したり誤魔化したりしようとしている感じがする。
分析して、考えれば考える程に二人が仲良くなる要素が浮かばない。
「その上、今はライバルだからな。」
考えて事を遮るように、黒尾さんの声が聞こえた。
私、聞き間違いでもしたかな。
二人はポジションも違うし、ライバルにはならないだろう。
セッターの京ちゃんだったら、孤爪さんがライバルだよね。
ミドルブロッカーは何人かいるから、勝手に誰がライバルって決められないけど。
その証拠に京ちゃんだって、何言ってんの?みたいな顔で黒尾さんを見てる。
「私、聞き間違い…してませんよね?ポジション違うのに何のライバルですか?」
確認するように言葉尻を上げて問い掛けた。