第1章 三角形 case1
席を立って数分。
お手洗いと言って立ったからには、そろそろ戻らないといけない頃だ。
少しでも先程の凍りついた嫌な空気が消えていないか、と二人が見える位置で一旦止まった。
会話は無さそうだ。
しかも、お互いに様子を伺うように顔を見合わせている。
うん、なんか怖い。
絶対に戻るの嫌。
あ、でもパスタ来ちゃうよね。
荷物も席にあるし、行かなきゃ駄目か。
息を吐いて二人の元に歩いた。
「お待たせしてすみません。」
頭を下げて元の席に座り直す。
京ちゃんが私を見て、どこか安堵した顔をした。
黒尾さんと二人にされるの、そんなに嫌だったんだろうか。
「あの、二人って元々仲が悪いんですか?」
気になった事を思いきって聞いてみた。
普通なら聞きにくいだろう質問を、いきなり出されて二人とも驚いた顔をしてる。
「良くは無いよ。…公式なら敵だから。」
答えたのは京ちゃん。
確かにそうだし、それが当たり前なのかな。
そのワリに黒尾さんと木兎先輩なんかは仲良さそうに見えたけど。
その辺は性格の相性かな、と一人納得していた。