第1章 三角形 case1
‐赤葦side‐
多分、本気だ。
それなら、手を出されないようにする為に、さくらの性質を暴露してしまおうか。
「…止めた方がいいですよ。さくらは依存体質で重い子で、結婚とか家庭に憧れが強くて面倒ですから。
さっきの、聞いてました?結婚出来る年齢だから恋愛解禁、なんて10代の恋愛観じゃないですよ。
付き合ったら、絶対に離れてくれないでしょうね。それこそ、黒尾さんがさくらに飽きたとしても。」
自分で貶しておいて、辛くなった。
それでも好きで諦めきれないのは俺だ。
「重いのは別に良くね?それ、絶対に浮気しねぇって事だろ。」
この人も、そうか。
分かっても引いたり諦めたりしない。
いや、俺が言う前にさくらの性格に気付いていた。
何を言ってもきっと無駄。
すでに2人は直接連絡を取っているし、邪魔のしようがない。
さくらの方に忠告しようと思っても、これだけ態度で示して分からないさくらだ。
俺が何かを言ったりしたら、今日みたいに怒らせるだけ。
それに、本人が気付いているかは別として。
さくらはすでに黒尾さんを気にし始めている。
さくらが話題にあげるのは余程ネタに困らない木兎さんのような人か、執着の対象なんだから。
「決めるのはさくらですよ。」
最後の抵抗とばかりに言ってしまうと、それからは口を閉じてさくらの帰りを待っていた。