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【HQ】サンカク。

第1章 三角形 case1


‐赤葦side‐

席に戻ったら、さくらの様子が明らかにおかしかった。
黒尾さんが何かを言ったのは明白で、白状する訳はないと知りながら威嚇を含めて問い掛けた。

案の定、飄々とはぐらかされて、その空気に耐えられなくなっただろうさくらは席を立った。

「赤葦は告白しねーの?」

黙って前にいる人の様子を伺っていると、唐突にそんな事を聞かれた。
どうせ、気付かれている。
誤魔化しても無駄。

「する気がないから、この状態なんだと気付いて下さいよ。俺も兄妹のままで良いので。」

溜め息混じりに答える。
半分は本心、半分は嘘。

兄妹なら別れる事はない。
ずっと、傍にいる事が出来る。

それでも俺は違う立場で傍にいたい、と思ってしまう。

矛盾した事を考えても、兄妹のまま離れない関係でいる事を選択したのは間違いなく俺で。
今さらどうこうする気はない。

「あ、そ。…じゃあ、小熊が俺に獲られても文句ねーな?長く続いたら結婚とかも有り得るだろ?そしたら仲良くしてね、お兄ちゃん。」

黒尾さんの声はあくまで明るく、俺を煽るようにも聞こえる。
その声とは対照的に顔には一切の笑いすらなかった。
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