• テキストサイズ

【HQ】サンカク。

第1章 三角形 case1


それでも、京ちゃんが離れるまで待ったのは、機嫌悪くなるから気を使ってくれたのか。
そう思ったら、無視は出来なかった。

「長く一緒にいたら誰だって、それなりに好みは把握しますよ。
確かに京ちゃんは親みたいに過保護だし、私は少なからずそれに依存してますから異常かもしれませんが。」

兄妹みたい、とは言っても血が繋がらない異性。
ここまでべったりとくっついているのは、変なんだと分かっている。

たまに、からかわれる以外に問題がないから変えないけど。

「…赤葦は、王子様に昇格しねーの?」

確認するような目と声。
私の反応を観察している。
いつもの、私達をくっつけようとしている黒尾さんとは違う。
この質問は楽しむ目的では無さそうだ。

答えが見付からず黙ってしまった。
タイミング良く、京ちゃんが戻ってきて私の前にジュースが置かれる。

「黒尾さん、さくらに何かしました?」
「別に?」

私の様子が変なのに気付いたんだろう。
京ちゃんがやけに冷たい声を発した。
対して黒尾さんは飄々とした感じで返している。

空気が凍っている。
この場から逃げたい。

「私、お手洗い行ってきます。」

二人を残すのは不安でも、目の前で言い合いをされても止める自信がなくて、席を外した。
/ 304ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp