第7章 三角形 case4
今、私が顔を出して、及川さんと話が食い違ったら、どうしようもない。
ここは、上手く切り抜けてくれたら嬉しい。
「中学の時の後輩なんだよね、彼女。わざわざ、俺に会いに青城まで来てくれるような情熱的なコ。」
「ものは言い様っすね。普通、ガッコ違うのに会いに来たらストーカーでしょ?」
「可愛いコなら大歓迎じゃない?」
私の願いは、予想外の回答で叶えられた。
だって、私は北川第一出身だなんて言っていない。
それなのに、どうして中学の後輩だと、まるで知っていたみたいに答えられたんだろうか。
そうやって、驚いている場合では、すぐに無くなった。
「確かに、可愛いコなら俺だって歓迎っすね。」
可愛いの部分だけを、やたらと強調した二口の目が、こちらを向いている。
ここでも、私を攻撃する気満々だ。
言い返しても、面白がるだけだと分かっているから、悔しいけど顔を背けて対応する。
二口の視線で私に気付いた及川さんが近寄ってきた。
「俺の可愛い彼女が来たから、また。次に会うのは春高の予選だね。
さくらちゃん。さ、行こっか?」
及川さんの手が私の腰に回って、歩く事を促してくる。
その力に任せて進む事で、この場から離れる事が出来た。