第7章 三角形 case4
チラりと、二口の様子を伺う。
さっきと変わらず、不審そうな目付きのまま、私の端末を見ていた。
【そっちの学校まで迎えに行くよ。他校のカノジョ、校門の前で待つって格好良くない?】
すぐに入った返信は勿論見られる事になる。
及川さんは及川さんで、変わらず特殊な美的感覚を持ってるな、とか思っても、嘘がバレるかも知れないと思うと突っ込む事は出来ない。
【じゃあ、お待ちしてます。また放課後に】
サクッと返信して、それ以上は何も見られないよう端末をしまった。
「彼氏相手に敬語使ってんの?ウケる。」
二口から降ってくる、しっかりと内容まで覗いたってアピール。
私が言い返すの待ちをしている。
それで、更に嫌味を言う気だ。
二口って、そういうヤツだ。
「人のスマホ見ないでくれる?」
「見たんじゃねぇし、見えたんだし?見られたくねぇなら、隠せば良くね?」
言い合いみたいな事をしても、自分が傷付くだけだって分かっている。
でも、こんなやり取りであっても、二口が私に対して無関心になってしまうより、ずっと良かった。
私の事が嫌いでも、興味を持ってくれている。
そう考えてしまう気持ちは、相当重症だと知った。