第6章 ※‐case3‐ending.※
なんで、リエーフの名前…。
あ、そっか。
2人は、元々知り合いだったんだっけ。
今止めたのは、先輩としての忠告か。
それとも、私を助けようとしたのか。
心のどこかで、何かを期待してる自分がいて。
声の主に目を向ける。
彼女らしき人に止められているのに、秋紀は完全に私達を見て、話をする体勢を取っていた。
「男って、離れそうになってる女、引き留める手段でプロポーズしたり、するらしいじゃん?
でも、離れそうになってるんじゃなくて、男が気付いた時には、もう離れてんだよ。
男は基本的にバカだから、そこまで追い詰めた事に、気付いてねぇんだ。」
薄い唇から、淡々と吐き出されていく言葉には、自嘲を含んでいるように聞こえる。
「それ、木葉さんの事だろ。俺は違うって、な?さくら、恥ずかしがってるだけだろ?」
リエーフは気にしていない風だけど、私には心当たりがありすぎる事で、体が震えてきた。
秋紀にプロポーズされた時は、リエーフみたいに私だけを愛してくれる存在を求めていて。
今は、生活のパートナーとして安定感のある存在を求めている。
私が望んでいた‘結婚’の話が出た時、その相手は求めているものを持っていない。
だから、応えられない。
それは、気持ちが離れているのと変わらないのだと知った。