第6章 ※‐case3‐ending.※
私に渡したいのは分かるけど、それを受け取る事が出来ず、固まってしまう。
愛だけで、生活が出来るほど、世の中は甘くない。
「さくら、俺、責任取るって言っただろ?俺と、結婚しよ?」
言葉でわざわざ言われて、目の前にある現実を受け止めなきゃならなくなった。
だけど、不安ばかりが頭の中をグルグルと巡っていて、返事は出ない。
だって、家の事は何もしてくれない人だったから。
結婚して、自分の家になったらやってくれるなんて、保証はない。
試して、駄目だったから、離婚のパターンとか、最悪だ。
「…ごめん。」
「なんでだよ?さくらが、責任取れって言ったんだろ?」
拒否するように首を振ると、リエーフの声が強くなる。
私が悪いのは、分かってる。
あの時は、完全にリエーフに傾いて、落ちたのも認める。
でも、リエーフという人間の生活態度を知ってから、一生を共に過ごすなんて想像するのが怖いくらいだ。
「ほんと、ごめん。無理、なんだ…。」
言える事なんて、これくらいしか無くて。
謝り続けていると、涙まで出てくる。
「なんで無理なんだよ?」
「…灰羽、その辺にしとけ。嫌がってる女に無理強いする男は、格好悪いぞ?」
追い討ちを掛けようとしてきたリエーフの声は、隣からの声によって止められた。