第6章 ※‐case3‐ending.※
やっぱり、愛されてるって実感出来るのはいい。
毎日のように、家に来てたのも私一筋だって証明しようとしてくれてたのかも。
少しだけ、前向きになれた。
手を繋いで、リエーフに誘導されるまま、向かったのはお洒落なイタリアンのお店。
少し薄暗い店内は、幻想的な雰囲気だった。
案内された席に着いた時、隣のテーブルのカップルが目に入る。
その男性の方は、秋紀だった。
向こうも気付いたみたいで、目が一瞬合ったけど、すぐに逸らされる。
当たり前の事なのに、胸が締め付けられた。
食事中も、どうしても隣が気になって仕方がない。
秋紀には、秋紀の、新しい相手が出来て。
私には、私の、新しい相手と一緒に居るのに。
この場から離れたかったから、食事も早々に済ませたのに、リエーフはそれを察してはくれず。
「な、デザートとかどうだ?」
「いや、いい。それより、早く帰ろう?」
「えー?俺が食いたいから、待っててよ。」
店員さんを呼んで、更に注文をしていた。
仕方無く待つ事、数分。
店員さんが運んできたのは、どう見てもデザートじゃ無かった。
皿の上に、手のひらサイズの箱が乗ったものを、私の前に置いて…。
「お連れ様からです。」
手でリエーフを示しながら、定番の台詞を言って去っていく。
「これ、やってみたかったんだよ!あちらのお客様からですーって、カッコいーだろ?」
リエーフは上機嫌で箱を手に取り、開いて私の方に向けた。