第6章 ※‐case3‐ending.※
リエーフが家に来なくなって、数日。
家に帰ってから、人の靴下を拾わなくていい生活って最高だ。
あれ、地味にストレスだったんだよね。
でも、この環境は、長くは続かなかった。
そう、リエーフは私の勤め先に出入りしている営業マンだったからだ。
家に自由に出入りしていい条件として、会社では私用の会話をしない。
それが、約束だった。
つまり、今の状況は…。
「なぁ、さくらの家がダメなら、晩飯くらい一緒しよ?」
堂々と、社内でナンパされてしまう事態を呼び起こしている。
まぁ、別れた訳じゃないし。
今回はちゃんとリエーフも会社に戻ってから待ち合わせて、って事だし。
断っても、しつこいのは分かりきっているし。
諦めも多分にあったけど、家を追い出して以来デートもしていなかった私にも非があるから、了解する事にした。
定時に上がり、待ち合わせ場所に向かう。
そこに先に着いていたリエーフは、私を見るなり笑って駆け寄ってきた。
「さくらっ!」
そして、公衆の面前であるにも関わらず、抱き締めてくる。
ただでさえ、一緒に居ると大きくて目立つ私達。
それでも、恥ずかしがらずに、こういう事をしてくれるのは、愛されている証拠だな、なんて。
ちょっと、嬉しくなっていた。