第5章 ※三角形 case3※
ランチして、それから手を繋いで街中を散策。
不機嫌な態度を取り続けたら、デートを強制終了されて、家に帰る事になりそうだから、出来る限り楽しんでいた。
ただ、これは。
嫌な事から目を逸らして、先伸ばしにしているだけ。
家に帰る時間が来なければいい。
そう思えば思う程、過ぎていく時間は早く感じて。
すぐに、夕方と呼べる時刻になってしまった。
「夜も外食しない?今から帰って作るの、面倒だから。」
帰りたくなくて、何とか理由を付けて、外に居ようとする。
「最初から、そのつもり。晩飯、予約してる店あるから。」
秋紀の方も帰る気が無かったみたいで安心した。
どこの店を予約しているか知らないから、秋紀に従って移動する。
電車にまで乗ったものだから、なんでそんな遠くの店を選んだか疑問だったけど。
辿り着いた先で、納得出来てしまった。
目の前に建つ店は、すき焼きが有名な、お値段高めの料理屋。
前回の浮気の代償として、連れてきてくれたのは分かる。
でも、私の方も浮気してしまった現状で、受け取って良いとは思えず。
「この店、カード使える?」
ここは、自分が出すと覚悟を決めたのに…。
「ホントさくらは、可愛くねーな。笑って、ご馳走さまって、言ってくれりゃいーよ。」
秋紀は、それを受け入れてくれなかった。