第5章 ※三角形 case3※
‐木葉side‐
さっきの、アレ。
どう見てもキスマーク、だよな。
まさか、浮気される側になるなんか、思ってなかった。
鉄の塊でも飲み込んだみてぇに、腹ん中がクソ重い。
それでも、今まで散々浮気して。
こんな想いさせてきたのかと思ったら、何も言えなかった。
言い訳じゃないが、俺の浮気は、一応ルールを設けてて。
1回しかしない事。
痕を残させない事。
一緒に眠らない事。
さくらに、バレるようにする事。
隠れてコソコソ、何回も同じヤツと…なんて。
それこそ、そっちに行けば?とか言われるに決まってる。
だから、浮気は浮気。
ワンナイトで終わらせて、相手に執着しないのが、モットーだった。
こんなもの、守ってきたからって、さくらを傷付けて無い訳じゃねぇよな。
ついに、愛想を尽かされたって事だ。
俺の浮気ルールからすると…。
キスマークと、お泊まり。
この2つは確実に破られていて。
相手に本気になったようにしか思えない。
だが、まだ別れてくれとは言われてない。
さくらが、今まで俺と別れようとしなかったのは、情だけじゃねぇって知ってる。
それなら、さ。
情以外で、さくらが俺に求めてくれてたものを叶えれば、戻ってきてくれるだろうか。
可能性は薄い気がしても、それに掛けてみるしか、別れずにいる道が思い浮かばなかった。