• テキストサイズ

【HQ】サンカク。

第5章 ※三角形 case3※


自分が嫌な事は、人にやっちゃいけない。
そんなの、子どもでも知っている。

こんな後悔が頭を巡ったのは、朝になってからだった。

隣では、リエーフがまだ眠っている。

起こさないように、そっとベッドから抜け出して、身支度を整えた。

目を覚まされたら。
あの瞳で見つめられたら。
また囚われて、逃げられなくて。
ズルズルと関係を続けてしまう。

昨晩の事を後悔するのは、まだ秋紀に対する情もあって、リエーフに本気になれないから。

このままだと、ずっと彼は浮気相手だ。

流されちゃ、いけない。

「…ごめんね。」

眠っている相手には、きっと届かない小さな声を残して、先にホテルから出た。

自宅に向かう足取りが重い。
今日は、秋紀が家に来るって分かっている。
普段通りの対応を出来る自信は、残念ながら無い。

口から溜め息ばかりが漏れて、自然と下を向いていた。

それでも、足は一応動いていて、自宅に辿り着く。

鍵を開けようとした時、勝手に扉が開いて。

「オカエリ。」

中から、秋紀が顔を出した。

あまりの展開に頭がついていかず、瞬きを繰り返す。

「お前、飲みとかウソ吐いて、朝まで残業でもしてたか?お疲れさん。」

朝帰りしたというのに、秋紀は浮気を一切疑っていない様子だった。
/ 304ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp