第5章 ※三角形 case3※
夜久さんとは別れ、リエーフさんと帰路を歩く。
並んでいると分かる、背の高さ。
これなら、私の高身長も気にしないで居てくれるだろう。
自分のコンプレックスを受け入れてくれるなら、あの浮気男より、リエーフさんの方がいいかも知れない。
だからって、浮気相手として付き合うのは、やっぱり違う。
付き合うなら、秋紀と別れて、ケジメをつけてからにしないといけない。
それなら、このまま流され続けて、家まで送って貰うのは駄目だ。
着いた後に望まれている事くらい、子どもじゃないんだから分かっている。
「あの、この辺で大丈夫です。後は一人で…。」
帰る、と繋ごうとした声が出なくなった。
視界の端に秋紀を捉えてしまったから。
2人からの情報の通り、女の子と歩いている。
手を繋いでいるどころか、秋紀が女の子の肩を抱いていて、どこかに誘導しているようだった。
「どこ見てんですか?」
リエーフさんの声で我に返る。
見なかった事にしようと、大袈裟に顔を逸らした。
それで気付かれてしまって、私が見ていた方向…秋紀達が居る方にリエーフさんの視線が向く。
「あっち、ホテルありますよ。許せるんですか?」
秋紀達の歩いている方角を指差して、いらない情報が聞こえてきた。