第5章 ※三角形 case3※
高校バレー…。
私が通っていた時代の梟谷高校は、全国常連だった。
それで、高校最後の冬。
その頃に付き合い始めた秋紀の試合を見に行った事がある。
「あ、あーっ!どこの学校だったか忘れたけど、大きいのに凄く下手だった子だ!」
やっと思い出して、大きな声を出した。
「失礼ですね!俺は、下手じゃありません!」
「空振りとかしてなかったっけ?」
「してません!」
「ブロックした腕の間を抜かれたりとか…。」
「してません!」
「いや、全部しただろ。」
確かに失礼な事を言ったけど、リエーフさんならノリ的に大丈夫そうだ。
からかうようにポンポンと会話を進めていると、またも口を挟まれる。
「夜久さんも、その試合見てたんですか?」
「選手で出てました。コイツ、その時の後輩で…。」
「なんか、すみません。学生時代も、会社でも後輩なんですね。」
会話に入って貰おうと、思い込みでものを言って。
観客だったと勘違いしたのが申し訳なくて、話を切り替えようとしたんだけど。
「夜久さん、その身長だから選手だったって思って貰えないんですね!」
リエーフさんが、話を戻した上に、地雷を完全に踏んでしまったようで。
「黙れリエーフ!ほら、早く入るぞ!」
背中に見事な蹴りが炸裂する。
話を続けない為なのか、先に店に入っていく姿を慌てて追った。