第5章 ※三角形 case3※
顔立ち的にハーフか何かなんだろうか。
特徴的な眼が、私をじっと見ている。
「お姉サン、どっかで会った事ないっすか?」
特徴的なのは、眼だけじゃ無かった。
自分で言うのはナンだけど、私側が客なのに、挨拶の前に、何でこんなベタなナンパされなきゃならないんだ。
あれ、でも…。
私の方も、どこかで彼を見た事があるような気がしてきた。
こんな特徴の塊みたいな人を、簡単に忘れるもの?
「リエーフ、何いきなりナンパしてんだ、てめぇは!」
「やっ!違いますよ!ホントに会った事ありますって!…ね?」
うちの担当…夜久さんが、その男を睨んでいる。
リエーフと呼ばれたその人は、慌てて私に同意を求めてきた。
「ごめん。思い出せない…。どこで会ったっけ?」
覚えはあるのに、ちゃんと思い出せてはいない。
教えて貰えれば、きっと分かると思って質問を返した。
「どこで…んー。」
リエーフさんの方もうろ覚えだったみたいで唸っている。
「小熊さん、ノらないで良いですから。」
「ノった訳じゃないです。私も何か見覚えがあって…。」
「…会ったと言うより、見た覚えだったら、小熊さんって、スポーツ見ます?高校バレーとか。」
2人ともが思い出せないまま、お互いを眺めていると、夜久さんが口を挟んできた。