第5章 ※三角形 case3※
それでも、この人を許してしまうのは、秋紀と別れたら、きっと結婚とか出来ないからだ。
こんな可愛いげのない大女、ちゃんと好きになってくれる人なんか他に居ない。
「そう思ってるなら、さっさと別れて他に行ったら?小さくて、可愛い女の所にでもさ。」
ほら、また。
口からは、思ってもいない言葉が飛び出てくる。
「バァカ。さくらは、港なんだよ。俺が、帰ってくる場所なの。」
でも、そんな部分ごと抱き締めてくれる秋紀。
吐き出されるのは、凄くクサイ浮気男の定番の台詞だって分かっていても、嬉しくて。
背中に手を回した。
細いけど、しっかりしている身体。
私より若干高くて、心地良い体温。
抱き合っていると眠くなってきたんだけど、秋紀の手がシャツの中に入ってきて。
「なぁ、仲直りエッチしね?」
言葉と共に床に押し倒される。
そういう事より、ただイチャイチャしながら眠りたいのに。
私の意思なんか関係無いようで、捲り上げられるシャツ。
「な、良いだろ?」
顔が近付けてきたけど、避けるように顔を逸らす。
シたいと思ってないけど、拒否権があるとも思えない。
だから、イエスも、ノーも言わない。
ついでに、キスもさせないのが、最後の抵抗だった。