第4章 ‐case2‐endnig.
夕くんは、ママさんバレーの人達の練習が終わるまで付き合い、帰る頃には日が落ち掛けている。
デートというよりは、ただの練習見学だけで一日を過ごしてしまった。
「今日の俺、どーでした?」
それでも、夕くんは満足みたいで、私に褒められるのを待っている。
目が期待を込めたようにキラキラしてて、悪い事を言いたくは無かったんだけど。
「…デートとしては、0点だよ。」
実際問題、目的を見失っていた感は否めない。
「マジか!でもっ!さくらさん、笑ってくれましたよね?」
夕くんが、悔しがるように頭を掻いたのも一瞬で。
少しでも、良い部分を言わせようとしているのか、詰め寄ってきた。
確かに、笑った。
可愛いとか、子どもを見るような思いだったけど、そこは間違いじゃない。
それに、ただ練習を見ていただけだったけど、夕くんは私をずっと気にしてくれていた。
淋しい思いとか、悲しい思いは、全然無かった。
私を泣かせないで、笑わせる。
ちゃんと、有言実行してくれた。
どこまでも真っ直ぐな、彼の想いはしっかりと届いている。
「うん。笑ってたよ。眺めてただけだけど、楽しくなかった訳じゃないから。」
私は、その気持ちを受け止めたいと思い始めていた。