第4章 ‐case2‐endnig.
こうなると、恥ずかしいから服を買いに行こう、なんて言える筈もなく。
周りの視線を気にしながらのデートがスタートする。
行き先なんかは特に決めていなかったから、夕くんの行きたい所が良いとリクエストした。
それで、連れて行かれた場所は…。
まさかの、市民体育館。
しかも、ママさんバレーらしき人達に夕くんが混ざってしまって、私は放置されるという展開。
これが、デートとして成り立つのか心配にすらなってくる。
呆れていても帰るのは気が引けて、楽しそうな夕くんを眺めていた。
やたらクルクル回ってはボールを拾い、私の方を見てグッと親指を立てたりしている。
もしかして、格好良いとこを見せているつもりなのかな。
そんな夕くんがが可愛く思えて、笑えてきた。
「さくらさんっ!やっと笑いましたね!」
それに気付くなり、夕くんはこちらに駆け寄ってきて、屈託のない笑顔を見せる。
「俺は、さくらさんを笑わせる約束なんで!もっと、笑ってて下さいね!」
それだけ言って、またコートに戻ってしまったけど。
彼の真っ直ぐさを知った後では、もう呆れたりも出来なくて、私も見学を楽しむ事にした。