第3章 三角形 case2
中を、そっと覗く。
まだ2人は来ていないみたいで、それなら待ち伏せようと門柱に寄り掛かる。
数分で、先に来たのは夕くんで。
「さくらさんっ!見送り来てくれたんすね!」
いつもと同じく、私に飛び付こうとしてきた。
流石に今、死んでもいい発言はされたくなくて避ける。
「さくらさんに見送って貰えんなら、それこそ百万力です!初日勝ち抜いて、生での応援待ってますから!」
それでも気にした様子は無く、任せろとばかりに胸を叩いていた。
「夕くん、頑張ってね。」
応援の言葉と、お守りを差し出す。
「マジですか!アザーっす!これで、万万力です!」
「だから、万万は無いって…。億だよ。」
「じゃ、億万力だ!」
「そんな言葉ないけど…頑張ってくれるなら、まぁ、いいか。」
「あ、さくらじゃん!見送り来たんだね。」
前と同じような事を言っている夕くんに呆れていると、冴子ちゃんの声がして。
そちらを向くと、龍くんも勿論一緒に居た。
「龍くん…。あの、これ。」
一歩近付いて、お守りを差し出す。
龍くんは、何回も瞬きをしてから…。
「…マジか、マジなんですか、コラ!」
喧嘩を売るような言葉を返された。