第3章 三角形 case2
別に急かされている訳じゃないのに、あまり時間を掛けすぎて気が変わられてしまうのは嫌だ。
夕くんに限っては、無さそうだけど、ずっと好きでいてくれる保証はない。
それが分かっていると、時間が進むのが早く感じる。
毎日の夕くんからのメッセージ攻撃に対応しながら、龍くんには私からメッセージを発信する。
それを繰り返している内に、あっと言う間に年が明けた。
夕くんから初詣に誘われたけど、2人きりになる勇気は無くて断り。
2人に会わないまま、春高の前日まで来てしまった。
今日これから、2人は東京に行ってしまう。
一言くらい声を掛けたいし、渡したい物がある。
冴子ちゃんも見送りに行くって言ってたし、少しだけなら。
迷惑になるだろうって分かっているのに、会う為の言い訳を考えて家から出る。
渡したい物は、手作りのお守り。
冴子ちゃんに、私も2人に何かしたいって相談したら、こういうのが喜ぶって言われたから。
でも、恥ずかしいから、他の人の前では渡したくないし。
見送りって言っても、やっぱり私は部外者だから、堂々と近寄るのは難しい。
烏野高校に着いてから、マイナスな事を考えて校門の所で立ち止まってしまった。