第3章 三角形 case2
見に行くと約束したから、次の日も冴子ちゃんと一緒に烏野に来てみたけれど。
練習の邪魔になるようなアピールは出来ず、体育館の端で大人しくしていた。
それなのに、夕くんは私に気付くなり昨日と同じく駆け寄ってきて。
今日は同級生らしい男の子に止められている。
龍くんの方も私の事をチラチラ見ては、やる気の空回りのようなミスをしていて。
やっぱり、同じ男の子に怒られていた。
部長さん程じゃないけど、怒らせると怖いタイプの人のようだ。
「西谷と田中の気が散るみたいなので、折角来て貰ってすみませんが…。」
その子に頭を下げられてしまうと、居座る訳にもいかず。
冴子ちゃんと共に外に出ようとしたんだけど。
「龍!夕!今日は練習終わったら、さくらと飯な!頑張ったら、ご褒美あるかもよ!」
去り際に、冴子ちゃんが勝手な爆弾発言を残してくれた。
それで、気合いを入れるように雄叫びを上げ始める2人。
龍くんは、私からのご褒美なんかいらないだろうに、ノリでやっているんだろうから、少しだけ落ち込む。
それに気付かれない内に、さっさと体育館から出ていった。