第1章 三角形 case1
見えると痛みは増すもので、歩ける気すらしなくなってしまう。
流石に折れてはいないとは思うけど、ちゃんとした治療は必要そうだ。
休み中だから保健室は開いていないだろうし、病院に行くには監督達に話して早退するしかないだろう。
「病院行った方が良くね?監督には俺が話しとくぜ。」
「すみませんが、お願いします。」
怪我の酷さを見て黒尾さんが体育館の方に歩いていった。
その背を見送ってしまった後にジャージを返しそびれた事に気付く。
でも、また合宿で会えるだろうから、無理には追わなかった。
歩ける気はしなくても、この年齢で抱っこやおんぶは恥ずかしく。
「俺は別に構わないけど?」
京ちゃんは、こう言ってくれたけど絶対に嫌で。
肩を借りて京ちゃんと病院に向かう。
結果としては捻挫で、2週間ほどは運動を控えるようにとの事。
こうして、初めての合宿は早退という最悪な印象を残して終わった。