第3章 三角形 case2
その後も、龍くんは夕くんのアピール…こんな所が凄い!という主張を始めて。
それが終わったのは、主将さんらしき人が怖い笑顔で龍くんを迎えに来た時だった。
まだ練習もあるだろうに、引き止めるなんて悪い事をした。
主将さんにも謝ったけど、逆に頭を下げられて困ってしまう。
取り敢えず、練習に戻りたいようだったので、今日は見学しない旨を伝えて、その場から立ち去った。
私が居たら、気を遣って体育館に戻れなかっただろうから。
帰路を歩く最中、夕くんからメッセージが届いて。
【何で帰っちゃったんですか!?】
あの場の雰囲気を凍り付かせた張本人だと気付いていなかったのは、もうお約束としか言いようがない。
【用事があったの。また行くからね】
短い文章だけど、久々に返事をした。
今はフラないって約束だ。
無視して、向こうから離れるように仕向けるのも、やっちゃいけない。
【待ってます!】
【今度は俺のカッコイイトコ見てって下さい!!】
【惚れ直しますよ!】
私からの返信が嬉しかったのか、次々と入るメッセージ。
どれもがテンション高めで、ちょっとついていけなくなって。
また、メッセージを返せなくなっていたら、数通で止んだ。
だけど、それは練習が始まったからだったみたいで。
この日の夜も、夕くんからのメッセージ攻撃は絶え間無く続いた。