第3章 三角形 case2
龍くんのその望みは、叶える事が出来ない。
だって、龍くんが好きなのに、夕くんと付き合うとか、意味不明過ぎる。
「あの、龍くん?それは、難しい話じゃない?」
「何がっすか?」
「龍くんを好きアピールしながら、夕くんと付き合うのは無理でしょう?」
「あっ!…あー、そうっすね。」
私に言われるまで、変な事を言っていた自覚が無かったらしい。
眉を寄せて考え込んでしまった。
一方通行な想いばかりがある今の状態では、何を考えても解決はしない。
「…じゃあ、こうしようか?私はまだ、夕くんの事、フラない。
キープしてるみたいで悪いとは思うけど、好きだと言われている内に、夕くんの方が良くなるかも知れないから。」
現状は変えられないし、無理に変えなくていい。
私の現在の気持ちも、変えない。
そんなに簡単に心変わり出来るなら、最初から好きになってない。
「でも、龍くんを好きだってアピールもする。龍くんが迷惑じゃないなら、ね。
もしかしたら、言っている内に私を好きになってくれるかも知れないでしょう?」
龍くんにとって、大切な友人をキープ扱いする提案。
また怒られるかもしれないけど、他には何も思い浮かばなかった。