第3章 三角形 case2
この気持ちを、どう表現すれば良いんだろう。
龍くんが、納得してくれる理由を探したけど、見付からない。
「…大人ってね、嫌な事でも笑顔で対応するものなの。応援したくなくても、相手の幸せを願ってる顔するの。
特に女は、見せ掛けの自分を作り上げて、綺麗に見せたいものだから。」
結局は、自分が一番気にしてた年の差を盾にとった。
大人はこういうものだと植え付けるしか、出来ないのだ。
「分っかんねーな…。好きなら好きで、もっと、こうっ!
好き好きオーラ振りまいて、龍くんの為に差し入れ作ってきたのー、とか!そんなんじゃねーのか?」
龍くんが、突然の熱弁を始める。
恋愛に夢を見る年頃ではあるだろうけど、コレは…ちょっと…。
「…ヒいてないっすか?」
「ごめんね。引きました。」
「ココは大人の対応して、引いてないよ、だろ!」
私が、年齢を盾にした事に気付いたんだろうか。
普通の同年代の友達とするような会話の運び。
こうやって気遣いしてくれるのは、やっぱり嬉しくて、気持ちは膨らむばかり。
「龍くんは、そんな事をされて迷惑じゃないの?」
「美女に好かれて迷惑な男などいません!だが、俺は何を言われても潔子さん一筋なんで!ノヤっさんの事、真剣に考えて下さい!」
気遣いじゃなくて、天然だった事だけは分かった。
最後には、また夕くんの話になっている。
自分は好かれてたいけど、友達の方と付き合って欲しい。
何とも複雑な、男の友情を見てしまった気がした。