第3章 三角形 case2
冴子ちゃんに会って、相談出来たまでは良しと思おう。
だけど、すぐに相手が龍くんと夕くんだとバレたのは、物凄くマズイ展開だとしか言いようがない。
冴子ちゃん曰く…。
「昨日、龍達とご飯行って、今日この話なら誰でも気付くってーの!」
らしい。
その上で…。
「やっと龍の魅力が分かる女が見付かったかー。あ、でも夕だってイイ男だよ?さくら、どっちにすんの?」
ニヤニヤしながら、こんな事を聞いてきた。
まず、私の方が年上で、相手が高校生である事を問題視して貰いたかったんだけどな…。
しかも、龍くんに告白した訳でも、された訳でもないのに、私が選ぶ立場にされている。
結局、どっちにせよ応援すると言われて、烏野高校まで連れて来られてしまったのも、また問題である。
冴子ちゃんは、顧問の先生やコーチと知り合いらしくて、すんなりと体育館に入れてしまった。
外は寒いのに、その中には熱気が充満している。
まるで、別世界みたい。
部員の方々は、突然入ってきた私達に気付く事なく練習を続けていた。
それだけ、集中しているって事だ。
目の前にある青春の光景が眩しい。
高校生と、大人。
その現実を、見せ付けられている気がする。
この中で、身内ですらない私だけが異物で。
独りだけ、空間から切り離されてしまっている感覚に陥った。