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【HQ】サンカク。

第3章 三角形 case2


龍くんは、姉が居るからか、少しは女の気持ちを考えてくれるみたいだ。
護るにしても、やり方を間違えたのは分かっている。

対して、夕くんの主張は、悪いもんは悪い!らしい。
確かに、待ち合わせしてると断っているのに、しつこいナンパは悪い。
ここに間違いはない。

「2人とも、止めて。正しさの押し付け合いなんかしても、何の意味もないよ。」

どちらの味方もせず、止める言葉なんか、これくらいしか思い浮かばなかった。
普段は、見た目と同じくぼーっとしたような、ゆっくり喋る癖がある私が、はっきりと声を出す。
それに驚いたのか、2人は黙ってしまった。

無言のまま、歩き続ける事、数分。
焼き肉屋の前に到着する。

「…焼き肉、嫌いだった?」

この雰囲気のままじゃ、食事は楽しめない。
さっきの話は蒸し返さずに、2人の顔を交互に眺めた。

「「いえっ!大好きですっ!」」

声が重なる。
その息ピッタリ具合は、言い合いをしていたようには思えない。

「ノヤっさん、何から行くよ?」
「とりあえず、肉なら何でも来い、だ!」
「そうだよな!」

その上、もう仲直りをしているようだ。
女子と違って、男子はここまで単純なのか…。

感心しているのか、呆れているのか、自分でもよく分からない状態で店の中に入った。
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