第3章 三角形 case2
ちょっと歩いた所で、タイミング良く夕くんとも合流する。
待ち合わせ場所から離れた理由を説明すると、そこには納得してくれたけど…。
「龍!ソイツの顔、覚えてるか?」
「おぅよ!」
「さくらさんをナンパした落とし前、つけさせなきゃな!」
「駄目だよ。大会出られなくなったらどうするの?自分達の自己満足の為に、皆に迷惑掛かるんだよ?」
ナンパ男に、制裁をしたいという部分では龍くんと同意見だったみたいで、説得するのに必死になった。
それでも、2人の怒りらしきものは消えない。
「…ご飯、ガッツリ系が良いんだよね?焼き肉食べ放題でも行こうか?」
強引に話を切り替えて、ナンパ男が居た方向と逆に歩き始める。
「あっ!待って下さいっ!さくらさんっ!」
夕くんの声と、2人分の足音。
制裁は諦めてくれたみたいだ。
「姉貴に、さくらさんは1人で待たせておくとナンパされるから、護ってやれって言われてたんで。スンマセンっした!」
「俺達と待ち合わせしてる女性をナンパする方が悪いじゃねぇか!何で龍が謝ってんだよ?」
ケンカっ早い部分を反省してくれた龍くんと、まだナンパ男を許せない夕くん。
正反対の事を言っているように聞こえるけど、2人とも正しい気がして。
どちらの味方をする訳にもいかないから、黙って話を聞いていた。