第3章 三角形 case2
よく、ぼーっとしてる、とか言われる。
お陰で、ナンパとかも、よくされる。
だけど、それがあったから冴子ちゃんに出会えたし。
龍くんと夕くん…普通にしていたら、まず知り合う事がない子達とも、メッセージをやり取りする仲になった。
その点では、ナンパにも感謝をしなきゃならない。
…と、思っていても…。
やっぱり、しつこいナンパは嫌いである。
待ち合わせだと言ったのに、その人が来るまで話相手して、なんて言って、隣に知らない男がずっと立っている現状。
今回は酔っ払いじゃないから、尚タチが悪い。
折角、前向きな気持ちで2人とご飯に行ける日なのに、会う前に気分が底辺まで落ちた。
「おぅおぅおぅ!さくらさんをナンパするとは、イイ度胸してんじゃねぇか!」
下を向いて、ナンパ男を無視していると、聞き覚えのある声。
まるでケンカを売るヤンキーみたいな口調に、慌てて顔を上げる。
まるで、では無く。
完全に、ナンパ男にケンカを売ってる龍くんが居た。
「…龍くん。大会あるんだから、暴力沙汰は駄目。行こう?」
助けてくれるのは、素直に嬉しい。
でも、ケンカを見守る訳にはいかない。
龍くんの腕を掴んで、その場から離れた。