第3章 三角形 case2
‐西谷side‐
姐さんが運転する車が見えなくなる。
それでも、道の先をずっと眺めていた。
さくらさん…。
その、お名前からも、聡明さと優しさが滲み出ているお方だった。
その上、勉強を教えてくれるという、男子の憧れ‘先生と生徒’シチュエーション!
正に!
この俺に相応しいお人だ!
「俺、一生手ぇ洗わねぇ…。さくらさん…。お綺麗な方だった…。」
思ったまま、口から出る。
さっきまで触れていたさくらさんの温もりが、まだ残っている手を握り締めた。
「はぁっ!?ノヤっさん、潔子さんは良いのかよ?」
龍の言葉によって頭に浮かんだ絶対的な存在。
美の化身、清水潔子さん。
確かに彼女もお美しい!
だがしかし!潔子さんの美しさは、皆で共有しなければならないものだ!
美しすぎて、独り占めしてはいけない…。
そう!あれは女神!
対してさくらさんは、傍に居てくれる先生だ!
独り占め出来るなら、してもいい存在だ!
「潔子さん…スンマセンっ!俺は…俺はっ!愛に生きます!
女神の潔子さんなら、分かってくれる筈!見守って下さいよ、潔子さんっ!」
もう暗い空を見上げて女神を思い浮かべ、誓いを立てた。