第3章 三角形 case2
確かに、私は何でも聞いて、と言った。
教えてあげたい気持ちも嘘じゃない。
だけど、帰ってからすぐに受信したメッセージは…。
【さくらさんって、彼氏いるんですか!?】
だったのは、如何なものだろうか。
因みに、これを送ってきたのは夕くんの方だった。
【夕くんは、彼女いるの?】
取り敢えず、否定も肯定もせず、質問返し。
答えとしては、いない、なんだけど。
どんな意図があって聞いているのか分からない限り、迂闊には答えない方がいい。
嘘を吐いて、いると答えて、彼氏さんに悪いから、なんて勉強を辞退されたら困るし。
逆に正直に、いないと答えて、彼氏に立候補なんかされたら、それもまた困る。
今まで、この質問をしてきた男の多くは後者パターン。
彼氏に遠慮するつもりだった人なんて、居なかった。
まぁ、高校生から見たらオバサンだろうから、可能性は限りなく薄いとは思う。
でも、予防出来るなら、しておくに越した事はない。
【俺はいないです!さくらさんは?】
すぐに入った返事で、しつこくも同じ事を聞かれる。
【夕くんが、次のテストで赤点無しだったら教えるよ】
テスト前に勉強を教えるだけの間柄。
今だけの関係だから、その間だけ誤魔化す為に、話を切り替えた。