第3章 三角形 case2
2人が固まっている。
流石に高校生相手にする事じゃ無かったと気付いて、手を引いた。
だけど、不快で固まった訳じゃ無かったらしい。
一呼吸置いてから、ほぼ同時に姿勢を正して教科書に向かい始めた。
「こんな問題、ナンボのもんじゃい!オラァァァア!」
「俺、この教科書にある事くらい、全て読み解いてみせます!見てて下さいよっ!」
そして、競い合うように勉強を再開する。
「さくらさん、この問題なんスけど!」
「さくらさんっ!こっちの話は、どこが重要なトコになりますかっ?」
「え?あ、あのっ…。お願いだから、1人ずつ聞いてきて…。」
ほぼ同時に質問をされても、私は聖徳太子じゃないから答えられる訳が無い。
2人とも一歩も引かず、違う教科の教科書を私に向けて、ぐいぐいくるものだから、少し怖くて腰が引けた。
「…はい、ストーップ!さくら、怯えてるじゃん。やる気があるのは良い事だけど、やり過ぎるなってーの!」
タイミング良く、冴子ちゃんが部屋に入ってきて、2人を引き離してくれる。
なんとか解放されて、安堵の息を吐いた。
それで、勉強は強制終了になったけど。
この、やる気がある状態を放置するのは勿体無い気がする。
「…あの、良かったら…。」
スマホを取り出して番号を表示した画面を見せた。
メッセージアプリを使えば、同時に質問されても、順に答えられるし。
画像も送れるから、採点もしてあげられる。
そう思って気軽に行動した。