第3章 三角形 case2
冴子ちゃん曰く、この2人は褒めて伸びる子達らしい。
だけど、勉強が出来て無さすぎて、褒める部分が見当たらない。
「龍くんは、頑張り屋さんだから、きっと出来るよ。もうちょっと落ち着いて考えてみようか。」
とか。
「夕くん、難しい漢字とか読めるんだから、問題もちゃんと読んでね。」
とか。
これが、限界だった。
それでも、2人は喜んでくれたみたいで、必死に教科書を眺めている。
向上心はある子達だったから、分からなくなれば聞いてくるし。
説明しても、まだ分からなかったら、質問をぶつけてきた。
たまに、私の顔を見ていて聞いてない感があるのは問題なような気もするけど。
解けていなかった問題の内、幾つかは解けるようになったし、真面目にやろうという気概は感じ取れる。
でも、人間の集中力は、そこまで続かず。
数時間もした頃には、2人ともテーブルに頭を乗せて、ぐったりとしてしまった。
こうなってしまったら、無理に勉強を続けさせても、多分頭には入らない。
今日は終了にした方が良さそうだ。
褒めて伸びるなら、さっきまでの集中力と向上心は褒めてあげたくて。
「今日は終わりにしようか。…お疲れさま。頑張ったね。偉いよ。」
つい、子どもにするように、2人の頭を撫でてしまった。