第3章 三角形 case2
‐田中side‐
今回の定期テストでは、縁下に見捨てられ…。
俺達は、窮地に陥っている。
問題を見ても、何が分からないのか、分からない。
これ、どうすりゃいいんだ?
「ノヤっさん…。これ、分かるか?」
「俺に分かる訳が無い!」
流石はノヤっさん。
自信満々に、答えてくれる。
これ、マジでヤベーぞ。
「龍、夕!喜べ!強力な助っ人連れてきてやったよ!」
バシンっと大きな音を立てて開く襖。
ただでさえ、集中出来ない時に、何やってくれんだ、姉貴よ…。
「うっせー!どうせ、姉貴のダチなら、頭はどっこいどっこいだろう…が?」
勢い良く振り返って、追い出そうと声を張り上げた。
…が、姉貴の後ろに控え目に立っていたのは…。
バカそうには見えない、まさかの、ゆるふわ美女ー!?
「さっすが、姐さん!俺達の事、心配してくれたんすね!アザーっす!」
ビシッと、背筋を伸ばしたノヤっさん。
「ささっ!どうぞ、こちらへ!何さんって呼べばいーっすか?」
そのまま立ち上がって、ゆるふわ美女を部屋の中に誘導している。
「…あ、さくら…です。」
「さくらさんっ!俺、西谷夕っす。ノヤでも、夕でも、何とでも呼んで下さいっ!」
ゆるふわ美女、あらため、さくらさんが部屋に入ると甘い香りが広がった。