第3章 三角形 case2
あれ以来、冴子ちゃんとは、普通に友達になった。
かなりしっかりした人だったから、歳も変わらないだろうと思っていたのに、まさかの年下だったのには驚いたけど。
年齢なんか関係なく、仲良くやっている。
私達の会話は、冴子ちゃんが話して、私が相槌を打っているパターンが多くて。
その冴子ちゃんの話には、弟さんがよく登場した。
弟さんの部活、バレーボールの試合を見に行った話から始まり、弟さんの格好良さを語り続け。
最後には、必ずと言って良い程、龍に彼女が出来ない訳が無い、と主張していた。
随分と、弟さんが好きなんだなって、その人に興味が沸いてきた頃…。
「そーいえば、さくらってさ。勉強、得意?」
「苦手では無いけど…。」
「そっか。…じゃあ、悪いんだけどさ、うちの弟と、その友達に勉強教えてやってくれない?」
こんな、お願いをされる。
なんでも、弟さん達の定期テストの点数はヤバいらしい。
それこそ、補習だらけになって練習が出来なくなる可能性がある程だとか。
普段、このぼーっとした性格の所為で冴子ちゃんには迷惑ばかり掛けている。
恩返しじゃないけど、その程度の事で、役に立てるならと思って了解した。