第3章 三角形 case2
よく、ぼーっとしてるとか、言われる。
お陰で、隙だらけに見えるのか、ナンパとかもよくされる。
大体は断れば引いてくれるし、しつこくされても無視をして離れれば害はない。
それは、運が良かっただけなのだと、たった今知った。
酔っ払いのしつこさは、並ではない。
逃げても、ついてくる。
「…お待たせー。悪いね。遅くなっちゃってー!ん?誰、コイツ?知り合い?
悪いけど、今日は女同士で飲み会なんだよ。遠慮してくんない?」
誰かに助けを求める前に、私と酔っ払い男の間に入る女性。
一方的に言い放った後、私の肩を抱いてその場から離れてくれた。
ちょっと、この展開にはついていけない。
「あ、有難うございます。」
「いーって事よ。それより、アンタ家ドコ?送ってこうか?」
かなり歩いてから、やっとお礼が言えた。
どうやら、この人からも、ぼーっとして見えてしまったみたいで、完全に心配されている。
ここは、お言葉に甘えておいて、途中で何かご馳走するかして、お礼をすれば良いかな。
「…じゃあ、お願いして良いですか?なんか、すみません…。」
「おぅ!この冴子さんに任せときな!」
自分とは、正反対のこの人との出会いが、更に新しい出会いを生むなんて、この時は思っていなかった。