第1章 三角形 case1
アドレスも、と言われたから、今度は私の方が黒尾さんのアドレスを手打ちして、空のメールを送信。
すぐに、黒尾さんのスマホが鳴って、確認していた。
「今時ガラケーとか。不便だよな。」
馬鹿にするような言い方に更に苛立ちはしたけど、この人には何を返しても無駄な気さえしてきていたから、黙って携帯を閉じた。
そんな事をしている内に、他の試合が終わって音駒の二回目の試合が始まった。
相手は…梟谷。
どっちを応援すれば良いのか分からない。
音駒の手伝いをしているとはいえ、私は梟谷の生徒だ。
かといって、声を張って梟谷の応援をしたら音駒の人の士気は落ちてしまうだろう。
考えても答えは出ず、ただ黙ってスコアを付けていた。
結果は梟谷の勝利。
嬉しいけど、それを全面には出せなくて微妙な顔をしながらタオルやドリンクを選手に渡していった。
その後も、ぐるぐると入れ替わり立ち替わり試合がある。
音駒は元々マネージャーがいなかっただけあって、私の手伝いなんかいらないんじゃないか、という位に部員達でなんでもしていた。
「寧ろ、私なんか邪魔なんじゃないかなぁ…。」
試合を見ながら思った事が口から漏れた。