【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜
第8章 うさみみっ娘の扱い方①〜ルカの場合〜【R18】
「で?その耳はどうやったら消えるの?」
冷静を装う俺の声は思った以上に冷たく響く。
一瞬ビクッとしたアリスは、小さな声で
「一晩だけ…」
と答えた。
(だったらアリスには今晩だけ部屋から出るのを我慢してもらったらいいか)
「じゃあアリス。自分の部屋に戻って今晩だけ部屋から出ないようにできる?」
俯いたままのアリスは俺の声に反応を返さず、じっとしている。
「アリス?」
顔を覗き込むようにしてもう一度呼びかけると、
「…やだ」
と、小さな声が聞こえた。
アリスは俺のシャツをぎゅっと掴むと、どこか縋るような目で俺を見上げた。
「ごめんね、ルカ。せっかく忠告してくれたのにこんなことになって。迷惑だってわかってるんだけど……でも。でもね。なんだか一人でいるのは不安で……一緒に、いて欲しいの…………」
言葉を紡ぐごとに大きな瞳を潤ませていくアリス……。
雫が溢れ落ちる前にその華奢な身体を両手でぎゅっと抱き寄せる。
「迷惑なんかじゃない。ごめん…アリスが不安に感じてることに気づいてあげられなくて……。
大丈夫。魔法が消えるまで俺がずっと一緒にいるよ」
「うん…ありがとう、ルカ!」
アリスは嬉しそうにぐりぐりと俺の胸に頭を擦り付ける。
その度にふわふわと耳が揺れて時々頰をくすぐる。
「ねえアリス、この耳ってどうなってるの?」
触れないように気をつけながら至近距離で観察してみる。
物音なんかにピクッと反応している様子は、本当にうさぎそのものだ。
「えっとね、別にすっごくよく聴こえるって感じは全然なくて、むしろ耳なのに耳じゃないみたいな。でも、先っぽまで感覚があってビックリするくらい敏感なの」
あ、だからさっきあんな反応だったのか…
え、でも、それにしたって敏感過ぎじゃないのか…?
じっと眺めていると、
「あの…ルカ。さっきは急だったから変な声出ちゃったけど、もう大丈夫だと思うから……触ってみる?」
「あ…うん。あなたがいいなら…」
うさぎの耳を触るってだけなのに、なんだかひどく恥ずかしいことをしているような、変な気分だ。
異様に胸が高まって顔が紅潮していくのがわかる。