【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜
第6章 天使が悪魔に変わる時【R18】
「ねぇ、エドガー…。何か怒ってる……?」
二人していつもより言葉少なに紅茶を飲んでいると、アリスが小さな声でぽつりと呟いた。
「え……どうしてですか?」
意外な言葉に驚き、思わず彼女の方へ振り返ってしまう。
「だって……、私の方全然見てくれないし……。
それに、帰りの馬車の中で難しい顔してたし…」
アリスは酔っていると思っていたのに、こちらの様子に気づいていたのか。
驚きとともに少し感心してしまう。
「馬車の中では貴女の事が心配で、つい顔に出てしまっただけですよ」
安心させようと笑顔を浮かべて答えるが、また視線が彼女のシャツ一枚に包まれた身体を辿っていきそうになり、慌てて逸らす。
その瞬間、アリスは傷付いたような表情を浮かべた。
(ーーっ、しまった…)
「怒っているわけではありません。俺はただーーー…」
慌てて彼女の方へ振り返り、その白く滑らかな手をとろうとしたのだが……。
俺が手を取るよりも早くアリスに腕を掴まれ、
「こっち、来て」
とベッドの方へ誘導される。
「…誘っているんですか?」
高鳴る鼓動を押さえつけながらひたすら穏やかに問う。
アリスは俯いたまま、コクリと一度頷いた。
ーーこれまで、アリスからこんなにあからさまな誘いを受けたことがなかった。
そもそも、純真で恥ずかしがり屋なアリスが意図的に誘惑してくるなんてことは一度もなかった。
「嬉しいですね。貴女から誘ってくれるなんて初めてだなぁ。
…じゃあ、今日は全てお任せしますね」
(この状況は非常にまずいですね……今すぐ貴女に襲いかかってめちゃくちゃにしてしまいそうだ)
何とか一度気持ちを落ち着けたくて、わざとアリスを困らせるような言葉を紡ぐ。
すると一瞬アリスは戸惑ったような表情を浮かべたものの、ぐっと瞳に力を入れて俺の目を見つめる。
そして次の瞬間、ふわりと可愛らしい笑顔を浮かべたかと思うと俺の首に腕を回してきた。
「わかった。私頑張るね」
そっと頰に手を添えられたかと思ったら、柔らかな唇が俺のそれと深く重なった。