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【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜

第6章 天使が悪魔に変わる時【R18】



俺が遅れたのは小一時間ほど。

それだけでこんなに酔ってしまっているなんて予想外だった。

まあ、それだけ楽しかったということだろう。
兵舎への馬車に乗り込んでからというもの、アリスはずっとニコニコしながら話し続けている。



頰を染めて俺に寄り添うアリスはとても可愛らしい。
ただーー…、正直に言ってこんなに可愛いアリスを他の男に見られたのはとても悔しい。

声をかけた、あの時。
ブランはアリスに心を奪われていたように思う。

たとえ一瞬でもそれを許せない程に俺は貴女に恋焦がれているというのに……。

胸が切なく軋む。
俺はそっと胸元を押さえながら、気を紛らわせようと馬車の窓から流れる景色をぼんやりと眺めた。






馬車が兵舎に着く頃。
酔いが回ったのか、アリスはウトウトと眠そうな様子が見てとれた。

「アリス、俺に掴まってください。部屋まで送りますよ」

いつものアリスなら恥ずかしがったり遠慮したりするところだったが、今日は大人しく俺の首に腕を回して身体をぴったりと寄せてきた。

その途端ドクンっと鼓動が強く打ち、触れ合ったところから甘い熱が拡がっていくのを感じる。
それでも俺はいつも通りの笑顔を浮かべて必死に平静を保つ。

(情けないですね…。こんな些細な事で取り乱しそうになるなんて)

心の中で苦笑しながらもしっかりとアリスを腕に抱き、部屋へ向かって歩き出した。






酔ったアリスが心配で、アリスの部屋へは送らず自室のベッドへゆっくりと彼女を降ろす。

部屋へ向かう途中でアリスは眠ってしまったようで、規則的な寝息を立てていた。

少し乱れて頰にかかっている髪をそっと指で梳いて整える。
穏やかな寝顔を見ていると自然と顔が緩んでくる。

きっと今の俺は自分でも見た事がないような表情を浮かべているのだろう。


(とりあえずシャワーを浴びてこようかな)

ずっと見ていたい気持ちを押し込め、音を立てないように細心の注意を払いながらベッドから離れると、部屋の奥の浴室へと向かった。


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