【イケメン革命】お茶会をご一緒しませんか?〜短編集〜
第5章 チョコレートをおひとつどうぞ②(主人公目線)
「おお、すげー凝ってるな」
カイルの目の前には私が作ったクラシックショコラが置かれていた。
今日、私は午後からの時間をほとんど使ってトッピングを頑張ったのだ。
だからカイルに渡すことが出来てほんとに良かった。
「これね、一応甘さ控えめにしてラム酒も使ってみたの」
私はドキドキしながらケーキを切り分ける。
お皿にちょこんと乗った可愛らしいケーキを、カイルは一口サイズにフォークで切り取るとゆっくり口に運ぶ。
「うん、美味いな。俺みたいな酒好きにぴったりの味だ」
「良かった。カイルの口に合うか心配だったの」
私がホッとして微笑むと、
「だからなー、それが余計な心配だってーの」
そう言って今後は鼻をツンっと押された。
言い返そうとカイルの顔を見ると、口元にトッピングで使ったココアパウダーが少しついてしまっていた。
「あ…ここ、ついてるよ」
何気なく手を伸ばし、指でそっとカイルの口元を拭った。
その途端、カイルの白い肌が紅く染まる。
「え…」
思わず目を真ん丸にしてまじまじとカイルの顔を見つめてしまう。
すると、急に目の前が真っ暗になる。
「………見るな」
どうやらカイルの手で目隠しされたようだ。
それにしても…………カイルってば、かわいい。
私のイタズラ心に仄かに火がついた。
「カーイル、顔、真っ赤だよ?」
さっきの仕返し、とばかりにカイルの耳まで真っ赤に染まった顔を覗き込んだ。
「…………これ、誘ったのはおまえだかんな」
そう言うと、カイルはガッと私の両肩を掴んで噛み付くようなキスをする。
「ん?!……っんん!」
突然でびっくりしてカイルの胸元に手をつき軽く押すけれど、ビクともしない。
「っ、あ………はぁ……ん」
息苦しくなって口を開ければ、熱い舌が差し込まれる。
濃厚なキスに頭から足先まで熱が駆け巡りトロトロに蕩けそう…
唇がゆっくり離れると、私はうっとりとカイルを見上げた。
「はぁ…なんでだろな。……おまえが欲しくてたまんねー」
カイルの視線がすごく熱い。
見つめられるだけで私の中の熱もどんどん増していくみたい……
じっと見つめ合っていたけれど、カイルはふと自分のデスクに目をやると私から手を離してふーっと息をついた。
「あー、アリス、恋のエッセンスって知ってるか?」